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さよならあの夏

甲子園をセーラー服を着て応援したかったよね。

浸かった

そうして私はずぶずぶとインターネットの悪い部分に浸かっていった。

当時はvipもかなり盛り上がっていたころ、いろいろなまとめブログを回り始めていた。それと同時にニコニコ動画も見ていたのでそれはもうずっとパソコンの前に座りっぱなし。母に兄に怒られてもずーっとパソコンに夢中。まったく小学生らしくない歪んだ小学生の出来上がりである。

それなりに2chの知識も付き始めていたころ、ついに私はまとめブログから本物の2chまで探りに行った。もちろん行くのはvip、けれど膨大な数のスレに思わずめまいがした。ましてやまとめブログのようにすべてのスレがおもしろいわけでもなく、クソスレと言われるようなものや安価でうんたら、だとかよくわからないものばかりで私はな~んだ、こんなもんか、と半ばがっかりして頻繁に訪れるということはなかった。

 

しかし

ある日、私はとあるスレがめちゃくちゃ伸びているの気づいた。そうそれは

[【コイル祭り】Yahooきっずのポケモン投票でコイル一位にして消防ども泣かそうぜ] by ==== かそログ ⊂二二二( ^ω^)二⊃

このスレを見て私はあほなことしてるなぁ、と思いつつその波にのったのである。たしか私が参加したころにはもう終盤あたりで、票が操作されている!と騒ぎ始めたころのような気がする。しかしスレを見ていても大しておもしろくない。いつものように閉じようとしたときにこのスレに「絵チャ」があることに気づく。絵を描くのが好きだった私はおもしろそうなのがある!とその絵チャに参加した。もちろん下手であることは知っているし、このvipでは子供は嫌われるものだと分かっていたから適当に「ああああ」と名前をつけてできるだけ出しゃばらないように慎重にチャットに参加した。この絵チャにはかなりの人数がいたと思う。コイルの絵だとか関係のない絵で賑わう画面に時々紛れる荒らし、下のチャット画面ではいろいろな話が交わされている。まるでお祭り騒ぎだった。私もその会話に参加しながらのんびりと楽しんでいた。たしか記憶する限りではこのころは夏?ぐらいでよく言われる夏厨が来て全消し荒らしが増えてきていた。それに辟易とした参加者のとある一人が「避難用絵チャ」を開設したのである。私はそこに避難して、参加者は少ないながらも絵チャを続けていた。何日も何日も私は「ああああ」という名前でログインをし続け、また他の人たちも毎日ログインしていた。絵チャに参加するにはもちろん絵がうまいひとが多い。とある人は絵を描きながらチャットをし、私はチャット専門ながら話をしていた。


私はその人たちとのチャットの中で「20の男で自営業である」とうそをついて話をしていた。もちろん本当は11歳の女子小学生。どうして自営業かというと、そのチャットにいる人たちはだいたい大学生だったからである。小学生の私は大学なんて全く分からない、突っ込まれたら困る!と思って農家をしていることにして、女だと叩かれることを恐れて男にしたのだった。今考えればばれそうなウソ、かわいいウソ。けれどそのウソを私は1年近く続けることになるのだった。

そう、その絵チャの中で意気投合した3人がいた。コイルスレの賑わいが静まっても私たちは絵チャを開き、適当な趣味の話を楽しんだ。たしか男、男、女、というメンツだったと思う。もちろんこの3人は大学生だった。

途中でいろいろと面倒が起きて最終的に残ったのは私と男の人ただ二人だった。私は「ああああ」と男の人は「ぬ」、意味もない名前をつけた二人はお互い少年ジャンプの漫画が好きだという共通点もあり、その漫画の話をしながら絵チャをしていた。 

「ぬ」は絵がうまかった。今でも覚えているけれど線も綺麗で色塗りも綺麗だった。私は彼の絵が純粋に好きだった。その頃好きだった漫画の絵に似てるね、と褒めると謙遜しながらも嬉しいと言っていたような気がする。あと彼はロリコンだった。


夏から続いていた絵チャは冬になっても開かれていた。時々はお互いinしていても他のものを見ていたりして会話がないこともあったけれど、無言でも何も気まずくないような雰囲気になっていた。たぶんお互い似ている所もあったんだろうなあと今でも思う。

そして絵チャはついに冬を越えて春になっても続いた。しかしここで変化が起きる。そう、私は小学生から中学生になっていた。私は中学生になって部活に入ったのだった。平日は夜まで部活があるし、今まで通りの時間に絵チャに参加できない。でも私は絵チャの中では20の男で自営業をしているのである。ああ!どうしよう!なんて言おうか、と必死に考えた結果、たぶん「自営業」…とかなり苦しい嘘をついたのではなかっただろうか。 それか私は自分という存在を妹として彼らに伝えていた。「中学生になる妹がいる」という嘘をついていた。その妹の送り迎えが…なんて嘘をついていたのかもしれない。 どちらにしてと苦しい嘘、本当は自分が話の中の妹であることはばれていたかもしれない。

そのあたりからはさすがに絵チャも惰性となっていた。なんたってほぼ一年続けていた絵チャである。しかも二人。仕方がないことだけれどだんだんと絵チャは週一となっていた。その週一の絵チャもinはするもののお互いすれ違って会話も続かない、そうなると終わりは近い。

ある日「ぬ」はもう絵チャは終わりにしよう、と言った。少しショックだったけれどそうだね、と返して楽しかった!元気でね、またどっかで会えたらいいなーと話をした。そうは言いつつ寂しかった。これから先どんなことがあってもこんなに広いネットの世界でもう一度出会うことも話をすることも無いのが分かっていたから。でも「ぬ」はvipの何かのスレの絵チャにいるから、その時はロリコン紳士ぬーたんかなにかを合言葉に声をかけて、と言うのでわかった笑、と約束して別れたのだった。


長い間続いた絵チャも終わり、私はしばらくして「ぬ」がいっていたスレを探してみた。見つけることはできたのだけれど声をかける勇気がなかった。それから私は合言葉を言うこともなく、スレも探すことはなかった。部活は夏を前に辞めていた。

今はもう私も二十手前、「ぬ」は30手前になっているのだろうか。今でも思い出す思い出。